今回はアンモニア式の小型冷蔵庫についてお話していきます。
冷蔵庫には、冷やすと一口に言ってもいくつかの冷却方法があります。アンモニア式は小型冷蔵庫に採用されやすい冷却方法ですが、その理由について、特徴も踏まえながらご紹介いたします。
アンモニア式冷蔵庫はとにかく静かなことが特徴
アンモニア式小型冷蔵庫の特徴は、とにかく静かだということです。通常の自宅用冷蔵庫は、生活音の中では気になるほどの音を出してはいませんが、夜中に耳を澄ますと「ヴーン」と音が出ています。一人暮らし用のワンルームで、冷蔵庫の音がうるさくて気になって眠れないと悩む人がいるほど、音に敏感な人にとっては不快な音になります。
アンモニア式冷蔵庫の話に戻しますと、この冷蔵庫には眠りを妨げる不快な音が発生しません。無音かつ無振動です。圧倒的な静かが特徴のアンモニア式冷蔵庫は、静かな冷蔵庫が良いと言えば必ず勧められるほどです。日常でよく使用されている冷蔵庫と、アンモニア式冷蔵庫ではなぜ音による違いがあるのか、次の章でご説明します。

静かさの理由はコンプレッサーやファンが無いから
アンモニア式冷蔵庫には、音の発生原因となるコンプレッサーやファンが内蔵されていないので、その振動が発生しません。なので、無音かつ無振動という静かさを保つことができます。
家庭用冷蔵庫のほとんどに、コンプレッサーとファンが内蔵されているわけですが、それぞれに重要な役割があります。コンプレッサーは冷蔵庫内の熱を圧縮させて、冷気のもとを作ります。ファンは、作り出された冷気を冷蔵庫内にまんべんなく循環させます。鳴り続ける「ヴーン」という音はファンによるものですが、一般家庭用の300Lを超えるような大きな冷蔵庫ではファンが無いと冷蔵庫全体が冷えてきません。なので、コンプレッサーやファンの音が気になるなら全ての冷蔵庫をアンモニア式にすれば良い、というわけにもいかないのです。
とは言えこれは比較的大きいサイズの冷蔵庫の話です。小型冷蔵庫であれば、沢山の熱を圧縮する必要もありませんし、ファンが無くても冷蔵庫内はしっかりと冷えてくれます。

アンモニア式冷蔵庫が冷える仕組み
ここで、アンモニア式冷蔵庫が冷える仕組みについてご説明します。
アンモニア式冷蔵庫の冷却方法は、気化熱という現象を利用しています。気化熱とは、液体が蒸発する時に周囲の熱を奪うことで、身近な例では打ち水がその現象を利用して周囲の空気を冷やしています。もっと日常的な例で言うとお風呂上りの湯冷めも、濡れていた体についていた水分が熱を奪って蒸発することによって起きます。お風呂上りはよく体を乾かしなさいというのは、科学的に根拠のある注意なのです。
庫内のアンモニアが、加熱と冷却を繰り返して、液体から気体、また液体へと変化しながら冷気を作り出しています。ファンが無いので冷気は循環しませんが、そもそものサイズが小さいのでわざわざ循環させなくても冷気が冷蔵庫内に充満して冷えていきます。

アンモニア式冷蔵庫におすすめのシチュエーション
ここまでで、アンモニア式冷蔵庫の特徴とその仕組みについて説明してきたので、その特徴を活かしたおすすめのシチュエーションをご紹介します。
最もおすすめなのが、ホテルや旅館の客室です。ホテルや旅館を利用する人のほとんどは、疲れた体を休めることが目的なので、無音で無振動なアンモニア式冷蔵庫の採用をおすすめします。心身ともに疲れた状態の人にとって、普段は気にならない音でも慣れない環境での物音には敏感になってしまう人も多いです。自分の経営する宿泊施設を選んでくれた感謝の意味も込めて、静かで快適な空間を演出すると良いでしょう。
2つ目のおすすめが、病院やクリニックの待合室です。体調のすぐれない方が多く来院する病院では、なるべく静かな環境を保つことで患者様へ配慮するためにもアンモニア式冷蔵庫がおすすめです。
3つ目のおすすめが、老人施設の個室です。様々な方が同じ建物内に同居するので、色々と気を使います。ほとんどはお互い様の譲り合い精神で解決できますが、余計なトラブルはなるべくかけたくないですよね。また、入居するご本人にも快適な空間で過ごすことができるように、静かな冷蔵庫を設置することをおすすめします。
4つ目のおすすめが、ワンルームのマンションや寝室です。要するに、寝る部屋に置く場合ですね。インテリア性だけで冷蔵庫を選んでしまうと、音が気になって眠れないという悩みを抱えることになってしまいます。音に敏感な方が寝室に冷蔵庫を置く場合はアンモニア式の冷蔵庫がマストです。

アンモニア冷蔵庫のまとめ
アンモニア式冷蔵庫の静かさについてはもうご理解頂けたかと思います。また、他の冷却方法で音が発生してしまう原因にも納得頂けたことでしょう。
自分の用途とシチュエーションに合わせて、アンモニア式小型冷蔵庫に買い替えたり、新しく設置する時の参考にしてみてください。